彩めきの器
AYAMEKI BOWL
⌘ 風味と景色に赴いた 香り彩る珈茶碗 ⌘
こうちゃ
陶芸家とサイフォニストがコラボして世に送り出す
彩盆の間 オリジナルのモチーフ。
職人同士のノウハウが詰まった器です。
作 家:樽田裕史 氏(陶芸家)
拠 点:愛知県瀬戸市
材 質:磁器
技 法:蛍手(ほたるで)
サイズ:(直径)約100mm×(高さ)約70mm
重 量:約170g
容 量:約300ml(満水時)
※ 手作業で作られているため個体によって風合いが異なります。
※ 手作業のためサイズや重量、容量も前後いたします。
※ ゆらぎ模様もすべて異なります。
⌘ 器とサイフォンコーヒー
紅茶やワインが、カップやグラスによって風味の感じ方が変わるように、コーヒーの風味もカップによって変わる。特にサイフォンコーヒーは出来たての温度が高温であるため、立ち昇る湯気にのって感じるアロマや、常温へと冷めていく間に変化する味わいを明確に感じるので、カップによって感じる風味の違いも、また明確である。それゆえ器選びは、サイフォンコーヒーにとってとても大切なこと。オーナーの中山が2度目のサイフォニストチャンピオンになった2015年から、主にサイフォンで淹れたコーヒーの風味を美味しく感じる器づくりを構想しはじめた。
彩盆の間 オーナーサイフォニストチャンピオン
中山 吉伸
⌘ 樽田さんの器と、樽田さんとの出会い
その後、薄めで、磁器で、口元は開き、実用容量は170mlくらいで・・・といった器の要件はまとまっていくもののそれをなかなかカタチにすることができないもどかしい日々が続いた。2018年、3度目のジャパンサイフォニストチャンピオンとして挑んだ世界大会。大会で使う器を探していたとき、偶然樽田氏の器にであった(当時樽田氏ご本人とは面識は一切なかった)。蛍手技法のゆらぎが特徴的な器、見た目にも惹かれてネットで見つけたそれを購入した。コーヒーを淹れてその器で飲んだ時「これだ!」と思い大会で必要な数を揃えようとしたものの、同じ形の器の数が揃わず敢えなく使うこを諦めるしかなかった。
4年の歳月が流れ、転職し勤務していた名古屋のお茶屋で開催されることになったギャラリーイベント、そこに登場したのが樽田氏だった。お茶屋との間で企画されたイベントに現れた樽田氏とそこで初めて出会ったのだ。偶然とはいえ、感動的な出会いでした。世界大会で使おうとしていたエピソードをお伝えするととても喜んでくださった樽田氏、飲料を提供する者として積み重ねてきた経験から、器に求める仕様を伝えると「逆に教えてほしい」と器造りはごく自然にそこからはじまっていった。プロとプロの出会いとシナジーによって、2015年からの器への想いは一気にカタチを成す運びとなった。
⌘ 美しさ
ヒトの心を動かすモノというのは「機能性と美」の両方が大切だと考える。
「美」の点では、言うまでもなくこの「ゆらぐ蛍手」の美しさ。素地を透彫(すかしぼり)にした後、その空間に透明釉を充填して焼成し、光を通して文様が浮きあがることから蛍の光に例えて「蛍手」と呼ばれる技法。それをゆらめきに表現する樽田氏。高温のサイフォンコーヒーからもくもくと舞い上がる湯気にちなんで、彩めきの器では、通常よりも彫りを深く(幅を広く)、ゆらぎを寝かせて作っていただいた。コーヒーだけではなく、色合い豊かなお茶を淹れるとより美しい景色が、器の外側からも、内側からも感じられます。
⌘ 機能性の本質
サイフォンで淹れたお飲み物は概ね80度と熱いのに、取っ手のないこの器で飲むと「熱くて持てない」のです。
サイフォンは温度が高いので、持ちづらいくらい熱い時は少しすすって香りを楽しむ時間。なんとか持てるようになる頃には70度を下回り、それは舌で甘味を感じやすくなるため徐々にバランスの良い味わいを楽しめるようになります。熱いうちは香りを、次第に味わいへとフォーカスする、そんな移りゆきを手で直に感じていただけるのが、取っ手のない器のいいところ。日本の器には取っ手はほとんどありません。カップのように取っ手があると、液体の温度が分からず返って火傷してしまいます。日本の器は、直接肌で感じていただく!そんな素晴らしさがあります。「熱くて持てない」=「不便」ではなく、「自然を直に感じて向き合える」=「本質」がそこにある。機能性とは便利さに焦点を向けられがちですが、「粋な機能性」を追求したのが「彩めきの器」です。
⌘ 移ろぎゆく香りの景色
コーヒーもお茶もなんでも、温度で風味は変わっていきます。
高品質なものは、どんな温度帯でもネガティブになることなく、様々な素材のもつ香りを楽しめるものです。
当たり前のようなことも、なかなか気付けないモノ。この器で飲むことで、飲み進めるにつれて、蛍手から透ける景色が変わり、ふと目に入ったその見た目から「景色が変わった」=「風味が変わった」ということを感じていただけたらいいな!という思いが込められてます。難しくせずありのままの移ろいを自然に感じる。そんなきっかけを創りたい。彩めきの器は、単なる器ではなく、一杯の香りを楽しむ旅の案内役でもある。
コーヒーでも、お茶でも、お抹茶でも、お吸い物やこ料理の器でも。
あらゆる風味と移りゆく香りの景色に赴いて完成させた珈茶碗(こうちゃわん:珈琲、お茶、お椀)なのである。
彩めきの器で、コーヒーやお茶の香りの景色を旅してみては。。。
蛍手(ほたるで)
素地を透彫(すかしぼり)にした後、その空間に透明釉を充填して焼成し、光を通して文様が浮きあがることから蛍の光に例えて「蛍手」と呼ばれる技法。樽田氏のゆらぐ光の蛍手は、風に舞う稲穂を思わせるような美しさ。器の外側からも内側からも、液体を通して見える景色は自然と移ろいでいく。
青白磁釉
柔らかな青い釉薬の色合いは、白の器にそっと深みをもたらす。
蛍手の彫りの影とのコントラストが自然美を感じさせる。
飲み口のまがり
このわずかな反り返りが、風味の印象を大きく左右する。
風味が明るく、そして広がっていく様が特徴。
形状の違いを試し、結果このわずかな曲がりにたどり着いた。
器の形状
底から飲み口にかけて、絶え間なく緩やかに広がっていく形状。
液体は、しっとりとし釉薬にまとわりつくようでさらりと流れる。
ほどよい量のコーヒーやお茶が、自然に口の中に広がっていく。
そして鼻まで覆う直径は、香りを柔らかく鼻腔へと運んでくれる。
特に熱いサイフォンコーヒーは、飲み頃になるまで約7分。
彩めきの器の薄い厚みは、器の外へと熱を逃し、いち早く飲み頃の温度へと導く。
ゆらぎの刻印
陶芸家 樽田裕史
磁器土の澄んだ白
青白磁釉の柔らかな青
彫りによる陰影
そして光が透ける蛍手という技法。
それら自分が美しいと思うものを掛け合わせることによって
自然から得たイメージと線の蛍手が調和し
美しい光を創り出す作品を目指す
陶芸の街 愛知県瀬戸市を代表する陶芸家。