top of page

サイフォンの " 最適な湯量 "って?


今回は、サイフォン抽出における湯量(プロ向け情報)についてのお話です!

改めましてこんにちは。THE SYPHONIST の中山です。


湯量 "200g"の理由って?


私は、サイフォン抽出時(HARIO テクニカ TCA-2の場合)に採用している現在の湯量は200gです。サイフォンを始めた当初は、TCA-2のフラスコ(満水容量320g)の半分160gでした。


果たして最適な湯量はあるのか。

結論、ありません。ですから、それぞれの抽出者によって採用している湯量が違うことはよくあることです。


今回ここに記したいのは、湯量は何に影響を及ぼすのか=どんなことまで考慮して湯量を決めるか=それによって導きだしたものが(個々の)最適な湯量と言えること。



" 湯量 " が何に影響するのだろうか!?


よく耳にする「Ratio(レシオ)=比率(湯量:粉量)」は、サイフォンにおいてはひとつの参考値に過ぎません。もちろん最も基本的な考えにレシオは大切な指標です。普段私は、その他、下記のようなことを踏まえて湯量を選択しています(熱源や浸漬時間は一定だったものとして・・・)。



(1)湯量がもたらす「仕上がり量=提供量」

当然のことですが、湯量次第で仕上がるコーヒーの液量は変わります。

マグカップが主流となり、またコーヒーを飲む一般的な量も増えている時代ですから、お店で提供する人はどれくらいの容量のカップでどのように提供するのか、一般の方においてもご自宅でどのカップでコーヒーを飲むのか、それに合わせてフラスコにセットする(注ぐ)湯量は変わってきます。


初期の頃に私が採用していた湯量160gは、現代においては仕上がる量がやや少ないと感じる量だったと思います。



(2)湯量がもたらす「撹拌のしやすさ」

湯量がある一定量を上回ると、撹拌がしやすくなります。

サイフォン抽出において、フラスコに注いだ湯量はロートに押し上げられた時に減少します。

フラスコ内には、お湯を押し上げたあとでも安全上一定量のお湯が、フラスコ内部+ロートの足管内部+フィルタの下に残ります。テクニカ(TCA-2)の場合、フィルタより下に約30gのお湯が残ります。つまり、フラスコに注いだお湯は160gでも、ロート内に押し上げられたフォルタよる上にある(抽出に使う)お湯は130g程度になってしまいます。


湯量が少ない(ロート内の湯量が浅い)と、ヘラで撹拌するときには波が乱れやすく撹拌が安定しません。撹拌が安定しないということは、仕上がる風味に影響を及ぼしてしまいます。初期の頃に私が採用していた湯量160gで当時行ったサイフォンセミナーでは、一般の方が撹拌に苦労していた光景を覚えています。そのとき、素人の方でもより撹拌しやすい湯量を設定しなければいけないと感じました。



(3)湯量がもたらす「抽出温度変化」

ご存知のとおり、サイフォンは抽出中も下から熱エネルギーを供給しつづける抽出方法です。

抽出器具の中では、数少ない特徴のひとつです。

つまり、お湯が押し上げられると少し温度が下がり、粉が投入され撹拌されるとまた少し温度が下がり、供給されつづける熱エネルギーによって浸漬中徐々に温度が上昇していきます。湯量が少ないレシピのときは、一般的には粉も少ない量で抽出することになりますから、湯量(粉量)が少ない環境では、同じ熱エネルギーでも早く温まりやすく、より高温抽出になりやすい環境といえます。つまりは過抽出の原因にもなります。逆に湯量が多いと粉量も多いレシピになることから、同じように温め続けても、ロート内の温度が上昇していくスピードを緩やかに抑えることができます。


初期の頃に私が採用していた湯量160gは、ロート内の温度が上昇しやすい量だっと思います。



(4)湯量がもたらす「仕上がり温度変化」

「(2)」で解説のとおり、テクニカ(TCA-2)の場合、抽出中フィルタの下に残る湯量は約30gあります。

この30gの湯は、沸騰(仮:100度)しているお湯なのでサイフォン内で最も高温な液体がそこにあるわけです。

ロート内に押し上げられたお湯は、熱源から離れ、かつ粉と触れ合い撹拌もほどこされて温度は80度以上まで低くなっています。サイフォンの抽出温度(ロート内)はイメージされるほど高温ではなく、そこで抽出されたコーヒーがバキュームによってフラスコへ戻った時、この100度のお湯約30gが加わることで、仕上がりの温度が高くなるのが実態です。


つまり、どんな湯量であってもフィルタの下に残る100度の湯量30gはいつも概ね同じなので、設定した湯量が少ないほど仕上がりの温度(提供温度)はより高温になります。より熱いサイフォンコーヒーになるという訳です。



(5)多過ぎる湯量がもたらす「危険」!

逆にフラスコのキャパに対して湯量が多過ぎる場合は、フラスコ内の余白が少なくなるため、加熱中の沸騰によってお湯が吹きこぼれる危険性もあります。吹き出したお湯で火傷したり、熱源にかかって炎や熱源を損傷したりする可能性もあります。採用するフラスコの容量を見極めて、余白をある程度設けるようにしましょう。


TCA-2 のフラスコの場合、私は多くても240gに留めています。



これら(1)〜(5)の湯量がもたらす背景がわかっていれば、それを逆手に取ることで、逆のアプローチをすることもできます。サイフォンの世界って、湯量ひとつとっても、なんて広いんでしょ!



最適な湯量とは環境変化を考慮したもの!


上記のような理由で、私は200gの湯量を採用しています。

慣れない方にもやりやすく、時代にあったある程度の仕上がり量、温度が変化するサイフォン環境においてやや安定しやすい、かつ安全。最適な湯量とは、レシオ以上に、サイフォン環境において湯量がもたらす環境の変化を考慮して設定した湯量だと考えています。


皆さんにとって、自身の最適な湯量を見つけてみてください。



THE SYPHONIST

閲覧数:732回0件のコメント

関連記事

すべて表示

Comments


bottom of page